【原作を是非、読んでみたい 人生再生の物語】 ★★☆ ■ さだまさしの同名小説を【ヘヴンズ ストーリー】の瀬々敬久監督が映画化。遺品整理業という仕事を通して、もがき苦しみながらも成長する若者の姿を描く。出演は【プリンセス トヨトミ】の岡田将生、【東京公園】の榮倉奈々、【神様のカルテ】の原田泰造、【僕たちは世界を変えることができない。But,We wanna build a school in Cambodia.】の松坂桃李。
高校時代に親友を“殺した”ことがきっかけで、心を閉ざしてしまった永島杏平(岡田将生)は、父・信介(吹越満)の紹介で遺品整理業“クーパーズ”で働くことになる。社長の古田(鶴見辰吾)は「荷物を片付けるだけではなく、遺族が心に区切りをつけるのを手伝う仕事だ」と杏平を迎える。先輩社員・佐相(原田泰造)、久保田ゆき(榮倉奈々)とともに現場に向かった杏平。死後1ヶ月経って遺体が発見されたその部屋では、ベッドは体液で汚れ、虫がチリのように部屋中に散乱していた。最初は誰もが怖気づくという現場に杏平は黙って向き合うが、ゆきに遺品整理のやり方を教わっている最中、彼女の手首にリストカットの跡を見つける……。3年前。生まれつき軽い吃音のある杏平は、高校時代、同じ山岳部の松井(松坂桃李)たちに陰でからかわれていた。そんな中、松井による陰湿ないじめと周囲の無関心に耐えられなくなった山木(染谷将太)が飛び降り自殺をする。その後、松井の悪意は表立って杏平へと向かい、何も抵抗できない杏平だったが、登山合宿で松井と二人きりになった時にふと殺意が生まれる。崖から足を踏み外した松井を突き落とそうとする杏平。結局、杏平は松井を助けるが、松井は「滑落した杏平を助けたのは自分だ」と周囲にうそぶく。だが文化祭当日、山岳部の展示室には松井を助ける杏平の写真が大きく飾られていた。顧問の教師が撮影していたのだ。それは、教師や同級生たちが松井の悪意や嘘を知っていながら、それを見過ごしていたという証拠だった。杏平は再び松井に殺意を抱き「なんで黙ってるんだよ」と叫びながら松井に刃を向けた……。ある日、ゆきは仕事中に依頼主の男性に手を触られ、悲鳴をあげ激しく震えた。心配した杏平は、仕事帰りにゆきを追いかけ、彼女はためらいながらも少しずつ自分の過去に起きた出来事を杏平に告げる。そのことでゆきは自分を責め続けていた。なぜ自分は生きているのか。自分の命は何なのか。何かを伝えようとするが言葉が見つからない杏平。そして、ゆきは杏平の前から姿を消した……(goo映画より)
▼ 【アントキノイノチ】なんだかどこかで聞いた事ありそうな・・・と思っていたらあの方とは無関係でなかったのねー。勉強不足のSIONとしては、まったく予備知識がなくてさだまさしの原作ということすら知らず、観たのですが、思っていた作品とは随分違いました。原作を読んだ方の中には賛否両論あるようですが・・・。映画好きのSIONですが、残念ながら原作に勝る映画はまずないと思っているので、素晴らしいという噂の原作を是非、読んでみたいですね!
正直、観はじめた時は 『しまった。お、お、重い。。。観る準備&体調を整えて観るべき映画だった>< 』と思ったのですが、後半からはそこまで重い内容でなく最後まで観る事が出来ました。前半は、なんだか救いのない感じで、このまま最後までいかれたらズッシリくるなぁと後悔していたのですが、いやー助かりました。
この映画の主題は SIONが思うに <心の傷を無理に忘れようとしてもダメ~キチンと向き合うこと> <人=命は、決してバラバラではなくみんなどこかで繋がっている> だと思うんです。その事を、杏平とゆきの再生を通して描いてる映画だと思うんですが、あのラストはないよねー。さすがにビックリだよ。っていうかあれは酷いよね。『 観客の皆さん、どうです?とーても悲しいでしょ。さぁ、思いっ切り泣きましょう!』ていう演出なのがミエミエで。。。そりゃ、まぁ、あんなことされたら泣けるよ。ゆきの立場に立っても杏平の立場にたってもどっちにしたって悲しいよ。ミエミエだって思っても泣けてきたよ。でもさぁ、そんな必要あるのかなぁ?そんなことしなくても充分言いたい事は描かれてると思うんだけど。。。二人手と手を取り合って新たな人生をスタートしました ~ めでたしめでたしで良いじゃん!ゆきの死があってこそ杏平の再生が完結するという見方もなくはないと思うけど、ゆきの人生ってなんだったんだろう?と思うと居たたまれない気持ちで一杯になります。高校時代の事件だからゆきは、十代半ばからずーと自分を責め続けて生きてきたわけでしょ?頼るべき母からも冷たくされ少女の心は、ボロボロだったはず。それでも亡くした子供のためにもちゃんと生きなくてはいけないという義務感だけで生きてきた彼女が、やっと過去の事件と向き合い <罪を償うためだけの人生>から<自分を認めて自分の人生>を生きようと新たなスタートを切った矢先のアクシデントだもん。可哀相すぎるでしょ!『 私は彼と出会ってもう1度生きようと思った 』という気持ちになったゆきには、本当に幸せになってもらいたかったなぁ。。。
一方の杏平君、遺品整理の仕事を通して人=命についていろいろと感じる訳ですよ。うんうん。考えるというより感じるって表現の方がピッタリだと思う・・・。今までは、周りの人と上手やっていくためにどこか怯えながら、深く他人に入り込む事はせず、上辺だけの希薄な人間関係の中で生きてきた杏平が、遺品整理の仕事をしていく中で物言わぬ遺品だからこそ良い意味で気を使うことなくその人の中に自分から入り込めていったんだと思います。左相さんに余計なおせっかいなんかするな・あんまり関わるなと注意されながらも気持ちを抑える事は出来ず、行動せずにはいられない杏平。その結果 <人=命は、繋がってる>ということを知った杏平は、少しずつ再生の道を歩み始めるんです。段々と前を向いて歩きはじめた杏平の姿は、見ていて気持ちが救われます。はじめのうちは、青みがかった色使いでドンヨリした色合いだった画面も、杏平の再生と共にやわらかいけど明るい春の日差しのような色合いに変わっていったところも良かったです(ただのSIONの気のせいかも)
主役2人も良かったです。はじめに書いた通り、原作未読のため原作のイメージ通りかどうかはわかりませんが、岡田将生は、繊細で難しい役どころの杏平をとても上手く演じてたし、ゆきを演じた榮倉奈々も難しい役だったという事もあり前半はちょっと違和感があったけど、後半希望を見出してからはなかなかだったと思うし、その上、脇を固める方々が、何気に豪華だったしね。
ラストシーンに関しては、大いに不満がありますが・・・死=生きる事に関してまったく深く考えることのなかった若い頃と違い人生の折り返し地点を過ぎたであろう今、今後の生き方について考える機会を与えてくれたことは確かです。
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<未読> 原作本です
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